うつ病の原因

うつ病を引き起こしやすい病気

2020年2月27日

うつ病

 

体の病気が原因でうつ病を引き起こすことがあります。うつ病を引き起こしやすい病気としてよくあげられるのが、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、てんかん、パーキンソン病などの脳器質性疾患です。

不眠やゆううつ、集中力の低下など、うつ病と同じような症状があらわれます。他にもうつ病を引き起こしやすい病気はたくさんあります。

 

「うつ病を引き起こしやすい体の病気」

 

  • 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害
  • てんかん
  • 認知症
  • 多発性硬化症
  • 糖尿病
  • クッシング症候群
  • 甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症状などの甲状腺疾患
  • 心筋梗塞
  • 気管支ぜんそく
  • 関節リウマチなどの膠原病
  • ウイルス性肝炎、HIV感染症など
  • 過敏性腸症候群

 

これらの病気が原因で、うつ病を引き起こすことがあるので注意が必要です。

原因としては、脳やホルモンなど身体の病気に加えて、病気に対する心配や不安などの精神的ショックが大きく関わっていると考えられています。

体の病気とうつ病が合併すると、両方の病気が治りにくくなりますし、それぞれの治療が必要となります。

 

 

「自律神経失調症とうつ病」

ストレスなどが原因で、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、めまいや動悸、体がだるい、頭痛など様々な症状があらわれることを“自律神経失調症”といいます。

頭痛や体がだるいなど体調が悪く、自覚症状を訴えて検査をしても、明らかな異常がみつからない場合に自律神経失調症と診断されることがあります。

しかし、自律神経失調症には明確な診断基準がないため、頭が重い、眠れない、疲れがとれないなどの症状がある患者さんを、自律神経失調症とひとくくりにしてしまっているケースがあります。

 

 

「自律神経失調症の症状」

自律神経失調症もうつ病と同じように体の症状と心の症状があります。

自律神経は交感神経と副交感神経の2つから構成され、この2つがバランスを保ち、うまく切り替わることで私たちの健康は成り立っています。

自律神経は全身の器官をコントロールしているため、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかないと、心臓や血管、呼吸器、消化器、筋肉や関節など、からだのあちこちに症状があらわれます。

 

「体の症状」

体の症状のなかでも全身に現れる症状と、自律神経が全身のほとんどの臓器や器官につながっているので、各器官に現れる症状があります。

全身に現れる症状

  • 倦怠感や疲労感
  • 睡眠障害
  • 食欲がなくなる
  • めまいや立ちくらみ
  • 微熱や体のほてり

 

各器官に現れる症状

  • 頭痛、頭が重い
  • 目が疲れる、目の乾き、涙目になる
  • 耳の閉塞感や耳鳴り
  • 口が乾く、味覚異常、のどの異物感や圧迫感、のどがイガイガする
  • 動悸や息切れ、手足の冷え
  • 吐き気、膨満感、下痢や便秘
  • 頻尿、残尿感、尿が出にくくなる
  • 性欲の減退、インポテンツ、月経異常
  • 手足のしびれやほてり
  • 肩や首のコリ、関節のだるさ、筋肉の張り
  • 皮膚の乾燥やかゆみ、髪の毛が抜ける

「心の症状」

体の症状以外にもさまざまな精神症状もあらわれます。

自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスを保つ視床下部にトラブルがおきているので、感情や精神活動をつかさどる大脳辺縁系や大脳皮質との伝達に支障が生じ、精神面にも影響が出てしまうのです。

主な症状としては

  • 無気力でやる気がおこらない
  • イライラする
  • 不安でしかたがない
  • 憂うつになる
  • 悲観的になり落ち込む
  • 何事にも無関心で興味がもてない
  • 些細なことが気にさわる
  • 気持ちが落ち着かない

などがあります。

 

 

「心と身体は関係しています」

憂うつな気分でいると頭痛がする、胃が痛くなる。また、体調が悪くなると気分が落ち込むというように、身体と心は密接に関係しています。

そのため、自律神経の症状は、ガンなどの体の病気のときにも、うつ病などの心の病気のときにもあらわれます。

これらの体の症状と心の症状が単独で出る場合もあれば、複数の症状が重なって出ることもあります。

 

 

「専門医の心療内科がオススメ」

このようにうつ病と自律神経失調症の症状はとても酷似していて、実際にはうつ病でも、自律神経失調症と診断されていることが多く、適切にうつ病の治療がなされていないことがあります。

うつ病は適切な治療をしないと、どんどん悪化してしまう病気です。自律神経失調症と診断された場合でも、経過がおもわしくない場合には、もう一度しっかり精神科や心療内科の専門医に診てもらうことをおすすめします。

あるいは、セカンドオピニオンをとることを考えてもよいかもしれません。

 

記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格

 

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