うつ病の症状

双極性障害とは?

2020年3月14日

双極性障害を理解

 

うつ病と双極性障害を説明していきましょう。

 

「双極性障害」

双極性障害とは、躁状態(気分が病的に高まった状態)と、うつ状態の両極端な症状が繰り返しあらわれる病気で、双極性障害はかつて“躁うつ病”といわれていました。

そのこともあり、うつ病の一種と誤解されがちでしたが、この二つは異なる病気で、治療方法も異なってきます。

双極性障害の患者さんは、日本国内では重症・軽症をあわせても0.4~0.7%といわれています。

1,000人に4~7人なので、100人に10人弱といわれるうつ病に比べると頻度は少ないといえます。

 

「双極性障害の症状」

双極性障害にはさまざまタイプがありますが、大きくはⅠ型Ⅱ型に分かれ、それは躁状態の程度によってわけられます。

躁状態が激しく仕事や日常生活に支障をきたすものをⅠ型、軽い躁状態とうつ病をくり返すⅡ型と分類されます。

双極性障害の抑うつ症状は、うつ病の症状とほとんど同じであるため、医師は診断の際に慎重に見極めなければなりません。

診断を誤ると、症状を悪化させてしまうこともあるからです。

うつ病と双極性障害の違いは、うつ病には躁症状はないのですが、双極性障害は躁状態とうつ状態がくり返しあらわれます。

躁状態の時は、妄想や幻覚をともなうこともあります。

 

「躁状態の時の症状」

うつ状態の時の症状は以前ご紹介したものと同じなのですが、躁状態の症状とはどのようなものなのかご紹介したいと思います。

躁状態のサイン

  • 睡眠時間が通常の生活時より2時間以上少なくても平気
  • 眠らなくても、元気に活動を続けられる
  • 買い物やギャンブル等で散財する
  • 初対面の人にやたらと声をかける、友人や家族に話し続ける
  • 次々にアイデアが出てくるが、それを整理して最後までやり遂げることはできない
  • 根拠のない自信があり自分が偉大だと感じる、人の意見に耳を貸さない
  • 性的に奔放になる

このような状態は、本人が問題意識や苦しみといったものを持つことがなく、むしろ調子がいい、心地よいと感じています。

しかし、これらはよく知っている周りの人からみると人が変わったようだ、何か異様に感じるなどと、自分で気づくことよりも周りの人が気づくことの方が多いのです。

 

「双極性障害の原因」

双極性障害の原因と言われているものは、脳の機能的異常、遺伝、性格、環境などがあります。

親が双極性障害である場合、子どもは5~10%で双極性障害がみられ、親がそうでない場合のおよそ10倍のリスクといわれていますので遺伝が原因の1つと考えられています。

なりやすい性格として、

  • 社交的で他人への気配りも上手
  • 誰とでも親しみやすく、周囲と同調しようとする
  • 責任感が強く熱心
  • 熱しやすく冷めにくい

と言われています。

それ以外にも養育環境、日々の生活のストレスやプレッシャー、生活リズムの乱れなどの環境も要因になってきます。

特に幼少期に親を失った人は、気分障害の発症率が高く、親のかかわり方は双極性障害の要因として大きく関係していると言われています。

また家族が患者に対して批判的または過保護のような感情的な関りが強すぎると、双極性障害の発症要因ともなります。

双極性障害は何らかの脳の機能的異常が背景にあるといわれていますが、その上に遺伝要因と様々な環境要因が重なり発症すると考えられます。

 

「治療薬の違い」

また、うつ病の治療薬は抗うつ薬が中心で、他には抗不安薬を併用しますが、双極性障害の治療薬は、気分安定薬や非定型抗精神病薬が中心となります。

抗うつ薬を処方しても症状の改善が見られない場合は、双極性障害の可能性も考えられます。

うつ病は通常1〜2年ほど治療を続ければ回復することが多いのですが、双極性障害は一度症状がおさまっても非常に再発しやすく、再発率は非常に高い(報告によると70%~90%)といわれています。

医師は、過去に躁状態になったことがないかなど、患者さんの過去の病歴や家族歴などを確認しながら判断しますが、双極性障害の患者さんに抗うつ薬を投与してしまうと、症状が悪化することもあるので、的確な診断が求められます。

 

「うつ病と合併しやすい病気」

もっともうつ病と合併しやすい病気は、不安障害です。

不安障害とは、病的に強い不安のために、日常生活に支障をきたしてしまう病気です。

不安障害には、以下のものがあります。

 

パニック障害

突然不安に襲われ、動悸や呼吸困難などのパニック発作を起こす病気。

パニック発作がおさまる頃にうつ病を併発しやすくなる。

社交不安障害

社交的な場所で、過度に緊張したり、不安や苦痛を感じる病気。

「対人恐怖症」などと呼ばれ、うつ病などの精神疾患と合併する率が高い。

全般性不安障害

特定の事柄や対象のない不安に悩まされる病気。

神経質で心配性の人がなりやすいといわれている。

摂食障害

不安による症状が食事の取り方にあらわれる病気。若い女性に多く、「拒食症」や

「過食症」がある。長引くと抑うつ状態がひどくなり、引きこもるおそれがある。

 

 

これらの不安障害とうつ病が合併すると、うつ病が重症化したり、慢性化しやすくなるので注意が必要です。

 

記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格

 

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