うつ病の症状

うつ病と症状が似ている病気

2020年3月11日

うつ病と間違えやすい認知症

 

うつ病と症状が似ている病気がいくつかあります。医師は、うつ病なのか他の病気なのか、診断の際には慎重に見きわめる必要があります。

うつ病の症状によくみられる「抑うつ症状」は、他の病気でも見られることがありますので、注意しなければいけません。

うつ病と症状が似ている病気は、以下のものがあります。

 

 

「心身症」

心身症は、ストレスなどが原因で、身体症状があらわれる病気です。

胃潰瘍や片頭痛、じんましん、気管支ぜんそくなど、種類は様々ですが、これらがストレスなどの心理的なものが原因であれば、心身症と判断されます。

うつ病と大きく異なるのは、心身症は心の病気ではなく、身体の病気であるという点です。

心身症の場合、検査をすれば体に異常が見つかりますが、うつ病は心の病気なので、見つけることはできません。

心身症は、身体に様々な症状があらわれるので、患者さんははじめ、内科や消化器科、皮膚科などを受診することが多いのです。

心身症の治療には、身体の病気に対する治療とともに、精神面での治療も必要となります。

心身症は、多くの身体症状があらわれます。具体的には、

  • 消化性潰瘍、過敏性腸症候群などの胃腸系の症状
  • 片頭痛、緊張性頭痛などの頭痛
  • 関節リウマチ
  • 気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状

などがあります。

例えば、発症として感染性腸炎にかかってしまったという既往がある人が過敏性腸症候群になるなどと明確なものがあります。

さらに、ストレスがあると、症状が悪化することがあります。

また、震災などによるストレスが、消化性潰瘍の発症や過程において影響を与えたということもあります。

 

「全般性不安障害」

全般性不安障害とは、ストレスやショックなどが原因で、激しい不安に襲われ、日常生活に支障をきたす病気です。

ノイローゼと呼ばれることもあります。全般性不安障害は、主に不安からくる精神疾患で、緊張したり、イライラする、動悸、下痢、不眠などの症状があらわれます。

パニック障害の場合は突然の発作で起きるので、わかりやすいのですが、全般性不安障害は、いつ発症したのかがはっきりしていないという特徴があります。

人間関係、健康、仕事のことなど、生活していくうえでいろいろな出来事が不安の対象になってしまい、深刻に悩みすぎてしまい、自分自身ではコントロールできなくなります。

うつ病と異なる点は、原因がはっきりしている、夕方から夜にかけてつらい、自分の興味のあることにはやる気が出る、被害者意識があり他人を責める傾向がある、などがあげられます。

不安障害は、まじめで神経質な人がなりやすいといわれています。

これらの性格は、うつ病になる人にも見られる傾向があり、不安障害になりやすい人は、うつ病にもなりやすいといわれています。

 

「統合失調症」

統合失調症では、急性期に“幻覚”“妄想”などの症状がみられることがあります。

慢性期になると、“意欲の減退”などの症状が出てきます。以前は精神分裂病(現在の統合失調症に相当)と内因性うつ病は精神疾患を二分する典型的な精神病でしたが、うつ病と統合失調症では妄想など似た症状がみられることがあります。

統合失調症は、脳の“統合機能”が一時的にうまく働かなくなってしまう病気です。

根本的な原因はまだわかっていませんが、いくつもの要因がからみあって発症すると考えられています。

幻覚や幻聴、抑うつ症状などがあらわれ、時にうつ病との違いを見きわめるのが困難なこともある病気です。

 

「認知症」

最近は60代以降の老年期になってからうつ病を発症する人も増えています。

高齢者の人がうつ病になると、物忘れがひどい、受け答えがしっかりできない、辻褄の合わないことを言う、など認知症の症状と区別がつかないことがあります。

アルツハイマー型認知症では、思考や記憶などをつかさどる大脳皮質の神経細胞が破壊されるため、物忘れから始まり、うつ症状や徘徊などの行動があらわれます。

老年期のうつ病では抑うつ感が強く、“死にたい”と思うなど、悲観的になります。注意力が散漫になり、食欲減退や不眠などの症状も少なくありません。

本人がこうしたさまざまな症状を自覚し、不安を感じていることもうつ病の特徴です。

うつ病は薬による治療を始めると、認知症に似た症状も改善されていきます。

老年期のうつ病と認知症の異なるところは、認知症では気分の落ち込みは少なく、活動性はあまり落ちないという点ですが、うつ症状はかなり似ていて区別が難しくなります。

認知症の場合、多くは急に進行するわけではなく、ゆっくりと進行するので、周りの人や家族は気づきにくいのです。

認知症の初期段階では自分の認知機能の低下に気づくことで不安を感じ、抑うつのような症状になることもありますが、認知症が進行していくと自分の症状に無関心になり抑うつのような症状は減少していきます。

また、意欲の低下や認知症特有の問題行動は目立つものの、自責の念や“死にたい”という段階までになる人はまれなのです。

 

 

このようにうつ病と症状が似ている病気は多く、診断には慎重な見きわめが必要となります。

 

記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格

 

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