うつ病の患者数は年々増え続けています。うつ病は、今や誰でもかかりうる病気なので、自分はうつ病にかかることはないだろうと過信してはいけません。
誰でも何かのきっかけで、気分が落ち込んだりやる気がなくなったりすることがあります。
しかしうつ病は、一時的な気分の落ち込みとは違います。
1日中落ち込んだり、激しい喪失感を感じるような状態が2週間以上続き、今まで通りの日常生活を送ることが出来ないというのが、うつ病なのです。
目次
「うつ病のサインとは?」
うつ病は、いつもと何か違うな?と感じることを見逃さないことがとても重要です。
わけもなく気分が落ち込んだり、食欲がない、眠れないなど、いつもと何か違うと思ったら、それはうつ病のサインかもしれません。
また本人が気づかずにいることもありますので、家族や周りの方がいつもと何か違うな?気づいてあげることも重要になってきます。
うつ病の症状は、心と体の両方にあらわれます。いつもと何か違うと感じたら自己チェックをしてみましょう。
「うつ病チェック表」
下記の症状がないか自分でチェックしてみましょう。
心の症状
○憂うつで、何に対してもやる気がおきない
趣味や好きなことですら無関心になっていませんか?
○集中力が低下し、決断ができない
仕事や学校でミスが続いたりしていませんか?
○何となく不安でイライラする
いつもなら心配しないようなことが気になっていませんか?
○人と話すのが面倒で、外出する気になれない
友達との付き合いがおっくうに感じていませんか?
○身だしなみやおしゃれに関心がわかない
身の回りを気にすることを面倒に感じていませんか?
○自分なんて消えてしまいたいと思うことがある
自分が必要ないと感じていませんか?
○夕方になると気分が楽になる
午前中は特に気持ちが上向きにならないことはありませんか?
体の症状
○なかなか眠れない
○夜中に何度も目が覚めて、寝た気がしない
○何を食べてもおいしくなく、食欲がない
○体がだるく、疲労感がある
○性欲がわかない
○動悸がして息苦しくなる
〇頭痛・肩こり・腰痛などの体の重さや痛み
当てはまるものがいくつありましたか?
3個以上あてはまり、これらの症状が2週間以上続いている方は、うつ病かもしれません。
ただ、これらの症状は日常生活の中で誰でも経験することなので、うつ病と思わず見過ごしてしまうことがあります。
特に体の症状などは、風邪の引き始めや単なる腰痛などと、間違った自己判断をしやすく、そのうち治るだろうと軽く考えて、自分がうつ病にかかっていることに全く気づかないことも少なくないのです。
これまでと何かが違うと気づいたら、なるべく早く病院に行って専門医に相談することをおすすめします。
「うつ病の気づきが遅れるとどうなるの?」
うつ病は放置すると、気づかないうちに進行してしまいます。症状がどんどん悪化し、絶望的になり、自殺などの最悪の事態を招くこともある怖い病気なのです。
うつ病のかたは、自殺前にいろいろなサインを出します。家族は、そうしたサインに気づくことで、自殺を防ぎ、手を差し伸べることができます。
「私なんていない方がうまくいく」「消えてしまいたい」というような言葉をきいたら、家族は話に耳を傾け、ゆっくり時間をとって、話を聞くことが大切です。
その他にも、突然の不安に思い落ち込んだり、イライラしたりします。
そのあと、急に元気そうにみせたり、身の回りの物を整理したりし始めたりしたら、嫌がったりしても、病院を受診させることが最悪の事態を防ぐために重要になります。
「家族や周りの人の気づきが重要です!」
自分自身がうつ病かどうかを判断することは難しいので、家族や周囲の人の気づきがとても大切です。
ただ、うつ病の症状は、家族や周囲の人からは、「怠けている」「だらしない」などと誤解されがちです。
本人が体や心の不調を訴えても、「たいしたことはない」「時間がたてば治るだろう」と勝手に決めつけてしまうことがあります。
うつ病の症状を悪化させないためにも、家族もうつ病に対して正しい知識を持ち、ちょっとしたサインを見逃さないことが重要なのです。
家族がこれまでと何かが違うなと気づいたら、早めに専門の病院に連れて行くことが大切です。
「病院での説明をスムーズにするために」
うつ病は症状の説明が難しく、病院に行ったときにうまく医師に説明できなかったり、症状を伝え忘れたりしてしまうことがあります。
病院に行く前に、日ごろの様子との違いはどんなところか?どのような症状がでているのか?なにがつらいのか?何が出来なくなっているのか?を自分や家族でまとめてメモをしていくと役立ちます。
「早期発見が大切です」
うつ病は、早期に発見して適切に治療すれば、十分治すことができる病気です。本人や周りの人が早く気付いて、適切な治療を受けることが大切なのです。
精神科の病院やメンタルクリニックを受診することは、抵抗などもあると思いますが、決して軽く考えず、心や体の変化に気づいたら、できるだけ早く病院に行って専門医に相談しましょう。
そしてうつ病に対する正しい知識と理解を持ちましょう。
それが、うつ病を早期発見して治癒につなげる一番の方法になるのです。
記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格