うつ病の改善方法

うつ病が改善後、社会復帰の時期は?

2020年3月6日

うつ病 社会復帰

 

うつ病の治療が順調に進み、回復期に入ると、症状が楽になり、そろそろ社会復帰のタイミングについて考えます。しかし、タイミングを間違えると、復帰してもすぐ再発してしまう恐れがあります。

回復期を過ぎて症状が安定しても、油断は禁物です。うつ病になった人の約半分は再発するといわれていますので、回復期を過ぎても気を緩めてはいけません。

うつ病は、完全に回復したかどうかの見極めが非常に難しい病気です。主治医は患者さんの状態を見ながら、慎重に復帰のタイミングを判断します。

 

「復帰を考えてもいい条件」

  • 仕事に復帰する意欲を持っている
  • 体力や精神状態が十分に回復している
  • 1人で通勤ができる

これらの条件をクリアしていることが大前提です。

また、本人や会社が仕事の復帰を望んだとしても、主治医の許可がなければ復帰はしてはいけません。

主治医の許可が出たら、患者さんと家族、職場の上司とよく話し合い、復帰の準備を進めます。患者さんが無理なく職場に復帰できるような環境をととのえることが大切です。

 

「社会復帰するための準備」

仕事をしたい気持ちがあるのはわかりますが、最初からフルタイム(あるいは以前と同じシフト)での復帰はうつ病の再発リスクが高まります。

最初の出勤は、無理のないように、例えば週2日、1日3〜4時間程度の勤務にしてもらい、ゆっくりと慣らしていくことが大切です。仕事も自分のペースで進められるものがよいでしょう。

頑張りすぎないよう、ゆっくりと時間をかけることが大切です。1〜2ヶ月くらいで、ふつうのペースに戻すくらいで大丈夫です。徐々に仕事のリズムに心と体を慣らしていく必要があります。

復帰前にまず会社(上司、人事担当者、または可能ならば産業医)と相談してみましょう。

 

「ご自身のペースでゆっくりと」

また、焦りは禁物です。休んだ分を取り戻そうと、焦って無理をしてはいけません。

再発が最も多いのは、職場に復帰して1ヶ月以内です。せっかく復帰しても、再発してしまっては元も子もありません。

休職していた場合、もとのペースに戻るには、休んでいた期間と同じくらいかかるといわれています。少しずつ仕事のペースを戻し、ゆっくり仕事に慣れていくことが大切です。

また、職場の人間関係が原因でうつ病を発症した場合は、復帰の仕方を慎重に検討する必要があります。

他の部署へ異動するなどの対処が必要になるかもしれませんが、本人が望まない部署への異動は、かえってストレスになりますので、本人とよく話し合うことが大切です。

 

「うつ病にとっての予防医学」

予防医学とは、病気にならないことを考える医療のことです。

予防医学は、医師以外でも本人や会社が出来ることも多く、うつ病においても予防医学の考え方は重要になります。

予防防医学には、そもそも病気かからないようにする“一次予防”、早期発見、治療を目的とした“二次予防”、再発防止やリハビリを目的とした“三次予防”があり、仕事復帰のタイミングや、復職後の時間調整や業務変更を考えるのは三次予防になります。

この三次予防をしっかり相談しないと再発率は高くなります。

 

 

「再発をしないように気をつけよう」

社会復帰をしたことにより、よくなりかけていたうつ症状が再び悪化し、出勤が困難となる、出勤しても仕事ができない状態になることは避けたいものです。

うつ病の症状がよくなったと自分では感じても、実際にはまだ不安定な場合があるので、注意してください。

うつ病の回復過程は、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に症状が落ち着いていくことが多いのです。

少し調子がよいからといって、社会復帰を急いで考えるのではなく、本当に症状が安定するのを見極めるためにも焦らずにいてほしいところです。

調子が上向いてきたからといって早々に復帰したところ、その後落ち込みのなどの症状が現れ、せっかく復帰したからと我慢したり、無理をしてしまうことも多く見受けられます。

結果的に、再度休職が必要になることもあります。このようなパターンに陥らないためにも、うつ病の治療の過程で主治医とよく相談し、細かい変化など自分の状態をみずから主治医に伝えるとともに、主治医からのアドバイをよく聞くことが大切になります。

 

「薬は飲み続けましょう」

うつ病の症状が安定した、社会復帰できたからといって、自己判断で勝手に薬を飲むのをやめてしまうのは厳禁です。

薬は主治医の指示に従い、許可が出るまで飲み続ける必要があります。急にやめてしまうことで再発してしまうことも多いのです。

回復期を過ぎてもしばらくは薬物治療を継続して、再発を予防しながら調子のいい状態を維持していく必要があります。

また、復帰した後はなかなか通院の時間をとることが難しいかもしれませんが、職場に説明するなどして定期的に通院は続け、少しの変化も主治医には伝えるようにしましょう。

 

記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格

 

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